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ツールドフランス2014 第16ステージ カルカソンヌ~バニェール=ド=リュション 237.5km [2014]




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コース概要
大会もいよいよ残り6日。
2度目の休養日を終えたプロトンは、
ピレネー難関山岳3連戦へと挑む。
1日目は237.5kmの長丁場に峠が5つ。
最初の2つはほんの足慣し程度で、
本番は3つ目の2級ポルテ・ダスペ峠
(残り82.5km地点、登坂距離5.4km、平均勾配6.9%)から。
今年で31回目のツール登場となるおなじみの山を越えると、
史上41回目の3級アレス峠へ、そして超級バレス峠へ。
2007年にツール初登場という比較的歴史の新しい山は、
登坂距離11.7km、平均勾配7.7%、最大11.7%。
ただし標高1755mまで上り詰めても、戦いは終わりではない。
そう、21.5kmの長いダウンヒルが待ち受ける。
ここを制したものがマイヨジョーヌを
決めてきた峠でもある。

高低差図
img_profile_16.jpg

レース概要
「ボクらにとって、ツールはあと4日間全力疾走すれば、
それで終わりです!」(新城幸也、休養日記者会見より)

そう、第20ステージの個人タイムトライアルと
第21ステージのパリステージは、「スペシャリスト」だけに
許された見せ場である。つまり一般的な選手にとって、
区間勝利のチャンスは残り4回だけ。
だから2度目の休養日明けのプロトンは、
全速力で走り始めた。
atge16.jpg

25km地点の4級峠でラファル・マイカが先頭通過を果たし、
最終的に本日の赤玉ジャージを手に入れた直後に、
小さなグループが飛び出した。後にユーロップカーを
手玉に取ることになるマイケル・ロジャースは、
この時点で早くも紛れ込んでいた。

その通り、追走を諦めなかったユーロップカーは、
ヴォクレールとシリル・ゴチエを前方に送り出した。
多くの選手が行動を共にした。スタートから73km、
ついに前集団は21人にまで膨らんだ。
そして、これが、勝利につながるエスケープとなる。
途端に、あれほど激烈に飛び出しを阻止していたプロトンが、
ピタリと加速を止めた。あっという間に距離は広がっていく。
しかも、いつまでたっても、再加速しようとしなかった。
総合16位19分24秒差のミカル・クヴィアトコウスキーが
前集団に紛れ込み、逃げ途中には暫定6位まで浮上したというのに
総合首位ヴィンチェンツォ・ニーバリはおろか、
総合トップ10争いの選手たちさえ追走を放棄した。

おかげでタイム差は最大12分半まで開いた。
ゴール前30kmになっても、あいかわらず先頭集団と
プロトンとの差は11分半も残っていた。
そして超級バレス峠の山道で、ステージ勝利への
戦いの火蓋は切って落とされた。

数的有利を、ユーロップカーは存分に利用した。
序盤のアタックはレザが潰してまわった。
続いてヴォクレールが2度、上りでアタックを仕掛けた。
ライバルたちが追いかけてくると、代わってゴチエが
カウンターアタックに打って出た。ただし
「脚が重かった」というゴチエは、山頂間際で一旦、
先頭集団から滑り落ちてしまう。

はるか、はるか後方のメイン集団も、
やはりバレス峠の上りから真剣勝負に突入した。
突如としてモヴィスターが隊列を組み上げた。
休養日に「ニーバリに攻撃を仕掛けていく」と断言した
総合2位アレハンドロ・バルベルデのために、
まるでスプリント列車と見間違うような、
とてつもないハイスピードで牽引を行った。
当然あっという間にメイン集団は小さくなった。
あまりの威力に、すでに13日間マイヨ・ジョーヌ保守を
続けてきたアスタナのアシストたちは、次々と脱落して行った。
総合10位ピエール・ローランと14位フランク・シュレクも
耐え切れなくなり、続いて総合5位ティージェイ・ヴァンガーデレンも
置き去りにされた。総合7位バウク・モレマも落ち、
白ジャージ姿の総合3位ロメン・バルデが
少しずつ遅れがちになってきた。

山頂まで残り4kmに差し掛かったところ、
バルベルデから16秒差の総合4位、ティボー・ピノが、
弾かれたようにアタックを打った。バルベルデに
5分06秒のリードをつけている総合首位ニーバリは、
すぐに張り付いた。
(ニーバリ、公式記者会見より)
「ボクは誰の、どんな攻撃も過小評価したりしない。
ブエルタでクリス・ホーナーに負けたのが、いい教訓だった。
絶対に、ピノに、距離を開けられてはならないぞ、と思った。
バルベルデはすぐに動かなかったけれど、
ああいう場合、『穴』をあけちゃダメなんだ」

もちろんバルベルデもすぐに動いたし、
総合6位ジャンクリストフ・ペローが
その総合トップ2と行動を共にしていた。
チームの後輩、バルデをひとり置き去りにして。
これに関しては、休養日インタビューで、
バルデは語っている。
「長距離タイムトライアルを考えると、ボクよりも、
ペローのほうが表彰台の可能性が高い
(ペローは2009年国内タイムトライアルチャンピオン)。
チームにとって最大の切り札は、ペローなんだよ」と。

こうして4選手が抜け出した。少し攻撃が落ち着くと、
2011年ツール総合14位のアルノー・ジャネソンがメイン集団に加わり
後輩のピノ牽引に惜しみなく力を与えた。
ちょっぴり苦手とする下りでは、21人のエスケープ集団の残党で、
しかも、バレス峠で一番にアタックした張本人のジェレミー・ロワが、
素晴らしい水先案内人を務めた。
stage16.jpg

(ピノ、ゴール後TVインタビューより)
「チーム全体がパーフェクトな仕事をしてくれた。
世界中どこを探しても、これ以上のチームメートなんか
見つからないだろうね。今日のジャネソンは上りで最強だったし、
ロワは下りでボクを待っていてくれた。
しっかりと作戦を立ててステージに乗り込んできたし、
それを上手く実行できた。ボクらがビッグチームだということを、
証明することができた。ピレネーはあと2日ある。
どうにか、バルベルデからタイムを奪いに行くよ」

結局のところ、4選手はそろってフィニッシュラインにたどり着いた。
そしてこの4人が、極めて順当に、総合の上から4つの順位に落ちついた。
不動の総合首位ヴィンチェンツォ・ニーバリ、
2位アレハンドロ・バルベルデ(4分37秒遅れ)に続いて、
4位→3位ピノ(5分06秒)、
6位→4位ペロー(6分08秒)と2人のフランス選手がジャンプアップ。
もちろん、4人のタイム差に、一切の変動はない。

バルデも下りでエスケープ組の
先輩サミュエル・ドゥムランの助けを得て、
ピノの集団から1分50秒遅れでステージを終えた。
総合では6分40秒差の5位に後退。
新人賞の純白ジャージも「普段は仲良しの」ピノに譲り渡した。
ただし「今日の戦いには負けたが、まだ明日がある」
(ゴール後TVインタビューより)と、いまだ白旗は上げていない。

新城幸也も順位を総合74位へあげて終了。

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ツールドフランス2014 第15ステージ  タラール~ニーム 222km [2014]




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コース概要
アルプスをたった2日間で逃げ出して、
プロトンは大急ぎで西へと向かう。
次なる戦場ピレネーへと接近するための、
正真正銘「移動」ステージ。
しかも222kmもの長距離ステージを走り終えた直後には、
2回目の休養地へ向けた200kmもの大移動。
ステージの3分の2ほどは、それでも山の名残を感じさせるような、
軽いアップダウンの道が続く。しかしラスト70kmはほぼ平坦。
スプリンターたちが大集団ゴール目指して隊列を組むに違いない。
警戒すべき敵は2つ。
もしも晴れた場合、フランス南部のこの一帯は、
時に摂氏40度を超える。
もしも風が吹いてきた場合、
海風であれ、山からの吹き降ろしの風であれ、
時に時速100kmを超える風が吹き荒れる。
つまりレースを仕掛けるサインとなる。
そしてニームの闘牛場の目の前で、
ステージはゴールを迎える。

高低差図
img_profile_15.jpg

レース概要
主導権はやはりスプリンターチームが握った。
最大8分50秒のタイム差を与えたが、
久しぶりのピュアスプリンター向け大集団ゴールへ向けて、
きっちりコントロールを請け負った。アスタナ軍団は
一歩引いたところで、マイヨ・ジョーヌの
ヴィンチェンツォ・ニーバリを静かに護衛した。

15stage.jpg

しかし、平和な時間を満喫する選手たちの前に、
大自然の脅威が襲い掛かる。
平地に差し掛かると、猛烈な強風が吹いてきた!

そう、この地方は山から海へと吹き降ろす
「ミストラル」で有名な土地だ。
しかも、この日はフランス気象台が、各地に強風警報を出していた。
選手たちがせっせと走っているちょうど同じ頃、
コースの北側ほんの50km程度の町で、
突風で大木が根こそぎ倒されたほど。
そして、もちろん、風、と言えば北クラシック巧者を揃える
オメガファルマ・クイックステップが動かないわけがない。
残り70km地点。集団前方で突如、激しいダッシュに打って出た。

そう風は仕掛けのサイン!
2007年ツールで驚くべき分断を成功させた
風巧者アレクサンドロ・ヴィノクロフ。
その彼がマネージャーを務めるチームのリーダーが、
風に翻弄されることはなかった。
オメガに続き、ビーエムシー レーシングチームや、
アージェードゥゼール・ラ・モンディアルも、
同じように集団を引き千切りにかかった。
総合5位のティージェイ・ヴァンガーデレンに
3位ロメン・バルデを擁する両チームの目論みは、
総合表彰台争いのライバルを引き離すこと。

結局のところは、いずれの企ても実を結ばなかった。
ただし先行で逃げるエルミガー&バウアー組と
プロトンとの距離は、一気に縮まった。
ラスト50kmで1分45秒差。あとは定型通りに、
集団スプリントへと進んでいくに違いなかった。

ゴールまで40km。
今度は突然、空から大粒の雨が叩きつけるように落ちてきた。
1週間前に通過したばかりのヴォージュ山塊には、
ひょう被害が発生していたから、雨だけというのは
むしろ幸いだったのかもしれない。ただ路面は極めて滑りやすくなった。
今年のツールは雨とかの悪条件で何人もの
マイヨジョーヌの候補者をリタイヤさせたことか。。
だから、自らの落車を避け、さらには「もらい」落車を避けるため、
総合有力者たちはプロトン前方に集結した。
エスケープ追走はしばらく二の次で、慎重に、慎重にペダルを漕いだ。

15stage2.jpg

ゴール前20km、雨がようやく上がった。
スプリンターチームに再び制御権が手渡された。
先頭の二人とのタイム差はまだ1分25秒残っていた。

ここから、追走に、アタックに、カウンターアタックに、
とてつもなく大忙しのラストがやって来る。

肝心のエルミガーとバウアーは、
ギリギリの綱渡りを続けていた。
ラスト10kmで48秒。5kmで34秒。3kmで32秒。
ここまで協力体制は決して崩れなかった。

(エルミガー、ミックスゾーンインタビューより)
「ゴール前6kmで、もうダメだ、って悟った。
ところがゴール前3kmで、32秒差だと聞かされて、
『逃げ切れるぞ』と考えた。おそらく、ジャック(バウアー)も、
同じことを考えたに違いない。彼は全力疾走を止めて、
『ポーカーゲーム』を始めてしまった。
逃げ切りゴールに、よくあるパターンだよね。
もしもフィニッシュラインまで全力疾走していたら、
上手く行っていたさ。おそらくね」

そう結果はA.クリストフが片手を突き上げ、
第12ステージに続く人生2度目のツール区間勝利をさらい取った。
フィニッシュラインギリギリで吸収された
バウアーは10位、エルミガーは16位だった。
総合14位までは1秒もタイム変動はなく、
結果としてニーバリが2度目の休養日も
イエロージャージを手放すことなく、
マイヨジョーヌで過ごすこととなった。
15goal.jpg

気になる新城幸也は総合79位
また見せ場を作って欲しい!

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ツールドフランス2014 第14ステージ グルノーブル~リズール 177km(山岳ステージ) [2014]




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コース概要
いかにもアルプスらしい3つの巨大な峠が
ツールご一行を待ち受ける。
まずは1つ目の1級 ロタレ峠の山頂へと向けて、
スタート直後から70kmほどじわじわと登る。
正式な登坂距離も34kmとひたすら長い。
平均勾配は確かに3.9%と低いが、
嫌になるほどの長い上り坂で、
早くも集団は分裂するだろう。
同じくらい長いダウンヒル(30km)を終えたあとは、
超級 イゾアール峠(登坂距離19km、平均勾配6%)へと
取り掛かる。数々のチャンピオンが総合優勝を
決めてきた伝説的難峠は、
山頂に近づけば近づくほど勾配は上がっていく。
また先頭通過の選手には、初代開催委員長の名を冠した
「アンリ・デグランジュ賞」も与えられる。
フィニッシュは大会初登場の1級リズール(12.6km、6.9%)。
山道には10以上のつづら折カーブが待ち受け、
登坂口から山頂まで一定した勾配が続く。

※最初の峠は日本で言えば知床峠の2倍バージョン、
といえば想像が付くでしょうか?

高低差図

img_profile_14.jpg

レース概要
ステージは「プリト」のゼロkmアタックで始まった。
16km地点で17人の先頭集団が出来上がった。
予想通りに中間スプリントはサガンがゲット。
20ptをプラスし、ポイント賞2位ブライアン・コカール
とは170pt差に広がった。リタイヤさえしなければ
グリーンジャージはほぼ手中に収めたと言っても
いいだろう。

1級ロタレ峠ではロドリゲスが(10pt)手に入れた。
続くツールの伝説的峠、イゾアールでも、
残された11人の暗黙の了解のもと、
ロドリゲスが先頭通過を果たした(25pt)。
そして、ツール創始者を記念する
アンリ・デグランジュ賞=5000ユーロ
(日本円で69万円)もゲットした。

しかし先頭集団と皇族との差は
ロタレ山頂では4分45秒あったタイム差が、
イゾアール山頂では2分50秒に縮まっていた。

というのは、後方のメイン集団が、
イゾアールで早くも激しい争いを始めてしまったからだ。
ステージ序盤はアスタナが静かな制御を続けていた。
すでにマイヨ・ジョーヌを「ほぼ」確定させたニーバリは、
なんの危険もおよばさないエスケープ集団を
邪魔するつもりはなかったし、3分37秒以上も
離れたライバルたちを苦しめるために1日中
高速テンポを刻む必要性も感じていなかった。
むしろ、積極的に行くべきは、総合表彰台当確線上にいる
選手たちや、総合トップ10入りを狙う者たちなのだ。

だから、山道ではチーム ネットアップ・エンドゥーラが牽引を続けた。
前日だけで総合19→10位と大きく向上した
レオポルド・ケーニッヒを、さらに上へと押し上げたいと願って
結果的に8位へと成績を上げた。

山頂間際に差し掛かると、
アージェードゥゼール・ラ・モンディアルが特攻を仕掛けた。
新人賞ジャージの総合3位ロメン・バルデと、
総合6位ジャンクリストフ・ペローを連れて、
山岳アシストのミカエル・シェレルが猛烈な牽引。
そのまま下りへと突っ込んだ。

30kmもの長い下りの最中には、
エスケープ組からクリストフ・リブロンも戻って来て、
月面世界のような「カス・デゼルト」を脇目もふらず駆け抜けて、

カスデゼルト.jpg

あらゆるライバルをまとめて後方に置き去りにした。
ただし、ニーバリを除いて!
さすが現役ナンバーワンダウンヒラーと呼ばれる男。
影のようにペローの背中にピタリと張り付いた。
しかも超ハイスピードで下りながら、路上の小さな障害物を
軽々と飛び越えるという、驚くべき器用さも披露した。

バラバラになったメイン集団は、下りが終わると
一旦、ひとつになった。

ツール初登場リズールの道が上り始めると、
またしてもAG2Rがレースを牽引した。
ここではルクセンブルク人ベン・ガスタウアーが、
フランス人リーダーのために全力を尽くした。
ユーロップカーのフランス人、ピエール・ローランが
数度の加速を試みたり、エフデジ ポワン エフエールが
ピノを牽引したり。
しかし、ここでもニーバリがレース運びのうまさを披露した。
ラスト4kmのアーチをくぐった瞬間、思い切り加速!
今度はペローが影のように、ニーバリの背中にピタリと張り付いた。

ニーバリとペロー.jpg

ニーバリはペローと最後まで運命を共にし、
2位で区間を締めくくった。
お望み通り、バルベルデを新たに1分突き放し、
また一歩マイヨジョーヌに近づいた。
(バルベルデ=総合2位 ニーバリとの差は4分37秒)

saint-veran_col-dizoard01.jpg
平時のイゾアール峠

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ツールドフランス2014 第13ステージ サン=テティエンヌ~シャンルッス 197.5km(山岳ステージ) [2014]




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コース概要
ツールはいよいよアルプスに突入。
ステージ前半に4級峠に入ると、その後しばらくは谷間が続く。
もちろん、山へ向けた戦いは、その谷間から始まる。
総合候補を擁する強豪チームたちは、山の入り口のはるか前から、
レースをコントロールし、エースをひとつでも先の順位へ
あげなければならない。
ツール初登場のこの1級パラキ峠には
ゴール前45.5kmから上り始める。
データによると登坂距離14.1km・平均勾配6.1%。
ただし本当のところは
登坂3km・勾配9.3%→下り2km→登坂9.1km・勾配7.4%で、
山道後半には12%超ゾーンも存在するというクセモノ。
山を下りると、谷間で一旦仕切りなおし、
各チームは最終峠シャンルッスへと取り掛かる。
史上2度目のゴールを迎え入れる超級峠は、
登坂距離18.2km、平均勾配7.3%。不規則に曲りくねった山道を、
標高1730m地点まで上り詰める。
フィニッシュ地からは、はるか遠くに、この山の最標高地点2253mを示す
「シャンルッスの十字架」が見えるかもしれない。

高低差図
img_profile_13.jpg

緩やかな下りから始まったステージは、当然のように、
無数のアタックで幕を明けた。我らが新城幸也(ユーロップカー)も
飛び出しを試みた。ステージ最初の3級峠(24km地点)を越えても、
執拗に突進は続いた。山頂からのダウンヒルを終えて、
道が平坦になった42km地点で、ようやく9人の逃げが出来上がる。
ツール区間勝利経験者の3人、ブリース・フェイユー、ヤン・バークランツ、
ビエル・カドリに、ジロで伝説的な雪のガリビエを制したジョヴァンニ・ヴィスコンティ。
さらにはアレッサンドロ・デマルキ、クリスティアン・ドゥーラセック、
ダニエル・オス、リュディ・モラール、バルトス・フザルスキー。
逃げ切りを祈りながら、メイン集団には5分近いタイム差を作り出した。

メインプロトンものんびりしていたわけではない。
前々日はキャノンデール、前日はジャイアント、今日はカチューシャ。
昨日、ステージ優勝を果たしたA.クリストフを要するチーム。
今日は山岳賞のポイントリーダーの
ホアキン・ロドリゲスのために作業を開始した。
こうして山が近づくに連れて、カチューシャ列車は猛威をふるい、
先頭集団とのタイム差はぐんぐん縮んでいった。
しか前日も激しく存在感をアピールしたユーロップカーが、
ゴール前75km、またまた全員隊列を組んで前線へと進み出た!
引っ張るのはわれらが新城幸也。この日は脚の調子がよく
絶好調!やはり見せ場は作ってもらわないと盛り上がりません!

新城幸也の見せ場!
幸也見せ場.jpg

その後、総合2位につけるリッチー・ポートに、異変が発生。。
そしてずるずると後退して行った。レース医療班の報告によると、
R.ポートは「消化不良(吐き気、嘔吐)」に苦しんでいたとのこと。
「フルームの代替リーダー」の早すぎる失速に集団内は色めきたった。
そしてここから、凄まじい加速合戦が、繰り広げられることになる。
ゴール前12km、引き金を最初に引いたのは、
ポートから1分24秒遅れの総合5位ティボー・ピノだった。

「レースを厳しくしてやろうと思ってね。他の選手たちも、
それほどアシストを残していたわけじゃなった。
だから、一発食らわしたら、どうなるのか、見てみたかったんだ。
脚の調子も良かったし、だから試してみることにした」
(ピノ、ゴール後TVインタビューより)

すぐさまメイン集団は大まかに3つに分断した。
1)総合19位からの上昇を願うレオポルド・ケーニッヒと、
純粋にステージ優勝にかけるラファル・マイカ、
つまり総合表彰台争いに関係のない2人が先頭へと抜け出した。
2)単独で仕掛けたローレンス・テンダムに、ピノと、
さらにポートから24秒遅れ総合3位アレハンドロ・バルベルデが合流し、
そこにマイヨ・ジョーヌも居座った。
3)後方は後方で、やはり熾烈なアタックと分裂、再集合を
繰りかえした。特に「暫定」表彰台へと向けて
新人賞ジャージ姿のロメン・バルデが幾たびとなく特攻をかけ、
2012年大会の新人賞ティージェイ・ヴァンガーデレンも
負けじと前へ突っ込んだ。

ここからニーバリが、2段階の攻撃に打って出る。
1)ゴール前6.8kmのアタックでピノとバルベルデを振り払い、
2)ゴール前2.6kmのアタックでケーニッヒとマイカを置き去りにした。
「コントロール」とか、「ステージ優勝を譲る」とか、
そんな悠長なことは言ってられなかった。
だって、2位のR.ポートに大差をつけられる
チャンスがめぐって来たのだから。
もちろん、プリトから山岳ジャージを奪い取ろう、
なんていう意思もなかったそうだが、
結果的には、黄色だけでなく赤玉も
所有することになったけれども。

ニーバリ、公式記者会見より
「明日も難しいステージになる。最終週もピレネーで、
非常に重要なステージが待ち受けている。
しかもタイムトライアルがある。
タイムトライアルのことを考えて、今日はポートをできる限り
突き放しておきたかったんだ。上手く行ったよ」
ニーバリの目論見どおりのレース運びで
第13ステージは幕を閉じた。

ニーバリ
ni-bari 13.jpg

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ハイライト動画(ニーバリの怒涛の追い上げ!)

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ツールドフランス2014 第十二ステージ ブール=アン=ブレス~サン=テティエンヌ 185.5km [2014]




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コース概要
39.5kmで早めの中間スプリントポイントを越えたあと、
軽めのアップダウンと曲りくねった道が連続。
大逃げにも向いているし、スプリンターも今ステージの
4峠くらいなら(3級2つ、4級2つ)、
それほど苦もなく乗り越えられるだろう。
ちなみに翌日から難関山頂フィニッシュ2連戦で、
マイヨ・ジョーヌ争いたちは静かに体力温存に努めたいところ。
ただし全てはレース展開次第!
なにしろこの日を逃すと、残された純粋な
スプリントチャンスは3回しか残されていない。
マイヨ・ヴェール争いのポイントや区間勝利の数などで、
レース展開は変わってくるだろう。
最後の4級グラモン峠を上り詰めたら、
ラスト21.5kmは大部分が下り基調。
ただしスプリント時の最終ストレート(1500m)は、
ほんの微妙な上り坂だ。これがどう影響するかも
今回の見所かも。

高低差図
img_profile_10.jpg

レース概要
休養日明けから夏らしいお天気に恵まれているツール一行だが、
3日後の日曜日からは再び下り坂の予報。
ちなみに翌日からは、大バトルが繰り広げられるであろう、
アルプス山頂フィニッシュ2連戦が控えている。
だから本当に今日こそは、誰もが本物の「移動ステージ」を待ち望んでいるはず。

幸いにも、前日の「移動ステージ」を破壊したキャノンデールは、
攻撃的戦術を引っ込めた。代わりにこの日の主役はジャイアント・シマノ。
彼らがプロトンの制御権を握った。
スタートから10km地点でセバスティアン・ラングフェルド、
グレゴリー・ラスト、サイモン・クラーク、ダヴィド・デラクルス、
フロリアン・ヴァションが飛び出すと、すぐに背後で列車を作り上げた。

レースは進み、ゴール前95kmだった。
逃げ切りのわずかな可能性に賭けて、
勇んでペダルを回す前方集団に、アクシデントが発生。
下り右カーブで、ダヴィド・デラクルスが右肩から地面に落下。
すぐ前を走るラングフェルドも巻き込まれ、アスファルトに滑り落ちた。
山岳ポイントを少しでも稼ぎたいと願っていたダヴィド・デラクルスは、
鎖骨を骨折して即時リアイアを余儀なくされた。
ラングフェルドはすぐに立ち上がり、どうにか先を続けた。

そして、ゴール前。
日中おとなしくしていたマイヨ・ヴェールのP.サガンは、
軽く上り気味のロングストレートで全力を爆発させたが、
またしても2番目の位置でこのステージを終えた。
今大会4度目の2位だった。

そして最後に笑ったのはアレクサンドル・クリストフ、27歳。
この春のミラノ~サンレモ優勝で一躍トップライダーの仲間入りを
果たしたノルウェー人が、初めてのツール区間勝利!

A.クリストフ
kurisutohu.jpg

ステージ序盤から黙々と働いてきたジャイアント・シマノは、
デゲンコルブの13位で1日を終えた。
積極策が再び不発に終わったユーロップカーは、
コカールの7位が最高順位だった。
第9ステージに大逃げでマイヨ・ジョーヌ、第11ステージには
最終盤のアタックで区間勝利と、フランス自転車界を大興奮させた
トニー・ギャロパンは、さすがに疲労には勝てず5分45秒遅れでゴール。
総合5位から20位へと大きく後退した。



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ツールドフランス2014 第十一ステージ ブザンソン~オヨナ 187.5km [2014]




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コース概要
休養日明けの187.5kmは少し短めか。
リズムを取り戻すための「回復ステージ」。
南へほぼ一直線に下り、アルプスへと接近するための
「移動ステージ」でもあるが、コースは決して単調ではない。
ジュラ山脈を軽くかすりつつ、
前半から小さな丘?をいくつも乗り越える。

さらにステージ終盤には、「山の多い難ステージレース」で
有名な、ツール・ド・ランの地元へと突入する。
一般人にはとても回復コースとは思えない。。。

そしてツールは、ラスト50kmには4峠が連続で登場
(3級3つ、4級1つ)。最終峠はゴール前19.5kmの
3級エシャロン峠(登坂距離3km、平均勾配6.6%)。
その後一旦軽く下った後、もう1つ「無印」の上りをこなしたら、
あとはゴールまで11km程度のダウンヒル
今回も誰かの逃げが成立するか?

img_profile_10.jpg

大会概要
クリス・フルーム、アンディ・シュレク、
そしてアルベルト・コンタドールの元マイヨ・ジョーヌ3人が、
落車による負傷で大会を去っていった。
現役最多の区間25勝を誇るマーク・カヴェンディッシュは
初日に姿を消し、さらにはマイヨ・ジョーヌ着用日数が
現役最多28日のファビアン・カンチェラーラは休養日に
自宅へ帰った
これでも今年のツールは走り続ける。
まだ179人の選手が残っている。
この中から新たなマイヨ・ジョーヌが生まれ、
ヒーローとなる。。。

「大逃げが決まる日」(新城幸也、休養日インタビューより)、
「15人くらいのエスケープが出来て、
後ろは静かな1日になる」
(ニコラス・ロッシュ、ゴール後インタビューより)と、
誰もが考えていた。
そして総合候補たちにとっては「移動日」となるはずだった。

ところが、Pサガンの動きでその予想は一転、
誰もがフル稼働の一日となった。

その動きと理由は
p。サガンはヴォージュの3日間(8・9・10ステージ)以外の
7ステージは、全て区間トップ5以内に入ってきた
。ポイント賞ではすでに2位以下に131ptをつけている。
あと必要なのは区間勝利だけ。
スロヴァキアの怪童と言えども、ピュアスプリンターとの
真っ向勝負にはどうしても勝てない。
すると今ツールで残されたチャンスは、おそらく、
中級山岳の今ステージと翌第12ステージの2回だけ。
さもないと……、2005年のトル・フースホフト以来、
「区間勝利のないマイヨ・ヴェール」になってしまう可能性が!
これだけは避けたい。。。。

レース概要
前日にチームリーダー、コンタドールを落車リアイアで
失ったロッシュは、やはりカヴ抜きで健闘を続ける
オメガファルマ・クイックステップのヤン・バークランツと
一緒に、突如として前方へ飛び出す。
これを合図に、大小数々のアタックが発生する。
シリル・ゴチエ、ヘスス・エラダも集団の隙をついて突進。
すでに前方で1人になっていたエルミガーに、
ロッシュ、バークランツ、ゴチエ、エラダが追いついた。

先頭集団が実力者5人組だからこそ、なおのこと、
サガン親衛隊が遠くへ逃がすわけがなかった。
吸収寸前のゴール前21.5km、ロッシュが最後の力を
振り絞って逃げを引き伸ばすが、5km先で果敢な独走は終了した。
最後の3級峠の下りで、サガン……ではなく、トニー・マルティンが
恐れを知らぬダウンヒルを敢行したせいだ!
逆にサガンは、ほんの一瞬分断にはまりかけたほど。
もちろん下りが終わるとすぐに、キャノンデールが制御権を取り戻した。

そして、無カテゴリーの、「グラン・ヴァロン=大きな谷」という名の、
上りがやってきた。ゴール前13.5km、トニー・ギャロパンが口火を切った。
第9ステージ夕方に黄色いジャージに着替え、
第10ステージ夜にいつものレトロな赤ジャージに着替えた26歳は、
第11ステージで新たな企てに打って出た。

「計画的なアタックじゃなかったんだよ。だって今日は
エスケープが最後まで行くと思っていたから!
だから最終盤の地形図さえチェックしていなかった。
でも、逃げはたったの3人で、キャノンデールが引き始めたから、
監督に地形を確認に行った。
しかも最終盤に向けて脚の調子がどんどん良くなって行ったから、
『これは、なにかトライすべきだぞ』って思ったんだ」
(ギャロパン、公式記者会見より)

昨夏のクラシカ・サンセバスティアンで、
ラスト15kmを独走して勝利をさらい取った健脚ギャロパンを、
絶対に逃してはならない――。
彼には逃げ切る脚がある。
そう思い慌てたサガンは、猛烈に追いかけた。
マイケル・ロジャースとミカル・クヴィアトコウスキーも同伴し、
3人はまんまギャロパンをつかまえた。
もう逃がさない……
しかし、再びスルリと抜け出されてしまう。
ゴール前2.8km、ギャロパンがもう一度勝負に出た。
「今を逃したら、もう次はない」と、最後の賭けにでる。

その賭けは見事に当たり
ずか数十メートルで逃げ切った。
ギャロパンは賭けに勝ったのだ。
そしてゼロ秒差で集団が滑り込んできた。

stage9.jpg

P.サガン、ミックスゾーンインタビューより
「誰もボクとスプリントを争いたくないはずなんだ。
だからクヴィアトコウスキーもロジャースも、
ボクと協力して追走する気なんてなかった。
むしろ、ボクに対して、アタックを仕掛けてきた。
ギャロパンを追いかけることだってできたさ。
でも、そうしたら、今度はロジャースかクヴィアトコウスキーが
仕掛けてきただろうね。全ての攻撃にボク1人で対応するなんて、
不可能なんだ」そしてサガンは9位でこの日を終えた。。

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ハイライト動画

ツールドフランス 2014 動画あり 第10ステージ [2014]




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ツールドフランス 2014 第10ステージは
ミュルーズ~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ 161.5km(山岳ステージ)

山岳コース3日目は、161.5kmの短距離に難峠・激坂が
7つも詰め込まれた難ステージ。
マイヨ・ジョーヌ争いに大きな影響を与えるステージだ。
序盤20kmこそフラットだが、そこから先は行けども行けども山ばかり。
ステージ半ばには1級プティ・バロン(登坂距離9.3km、平均勾配8.1%)、
1級プラツェルヴァゼル(7.1km、8.4%)が連続で襲い掛かる。
このあたりは一級とはいえ勾配が10%未満のため
プロのレーサーなら問題ないでしょう。

問題はこの先、短いけれど爆発的な力を要する最終2峠。
ゴール前18kmの1級シェーヴル峠(3.5km、9.5%、最大勾配18%)、
そしてフィニッシュ峠の1級ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ(5.9km、8.5%、20%)。
特に最終峠は登坂口が13%で、ラスト250mが20%と、
最初から最後まで猛烈な力が必要!

最大勾配 18%だの20%だの訳のわからない数字が
並んでいますが、こんなところ車でも登れるのか?
という急坂。やっぱりプロレーサーはすごいとしか
いいようがない。

コース図
img_profile_10.jpg

レース概要
山に入れば一寸先も見えないほどの濃霧。暑くなったり、寒くなったり。
たとえ晴れてはいても、道はじっとりと濡れていている悪状況。
そんな中で悲劇がディフェンディングチャンピオンのクリス・フルームに続き、
総合大本命アルベルト・コンタドールを地面に叩きつけた。

15時20分。7つの峠のうち、3つ目の、
ちょうど麓にさしかかったときだった。
「ポケットに手を入れて何かを探しているときに」(チームプレスリリースより)、
コンタドールが道路右側に転がり落ちた。右ひざを切り、
大量の血が流れた。左足のシューズに不具合が発生し、
交換を余儀なくされた。その後再びバイクにまたがるも
監督とコンタドールは話し合いを行い、
アシストたちに感謝の意を伝えて、彼のツールは
終わりを告げた。フルームに続きコンタドールまでがリタイヤ。

既に頭角を現し始めていた「第3の男」と
呼ばれていたヴィンチェンツォ・ニーバリが
今大会の大本命になろうとしている。

2年前にクリス・フルームが初のツール区間勝利を勝ち取った山で、
ニーバリは自らがマイヨ・ジョーヌにふさわしい王者であることを改めて証明した。
フルームが消え、コンタドールが去ったから、
自動的にマイヨジョーヌが転がり込んできたわけではなく
ニーバリは自らのアタックで、区間とマイヨ・ジョーヌを勝ち取ったのである。

ただし、まだアルプス、ピレネーと大山岳地帯が待ち受けている。
ニーバリにも何が起こるかわからないのは、フルーム、コンタドールの
落車を見れば明らかだろう。ただ、今回のツールは新しいヒーローの
登場を願っているのかもしれない。



ハイライト動画です



ツールドフランス 2014 動画あり 第9ステージ [2014]




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ツールドフランス 2014 第9ステージ
ジェラールメール~ミュルーズ 170km

山岳ステージ3連戦の中日。
スタートゼロkm地点から、
いきなり2級ラ・シュルクト峠(登坂距離8.6km、平均勾配4.5%)の上りから始まる。
それ以降は150km地点まで息付く暇もないほどの起伏がライダーに襲い掛かる。
道は曲りくねり、平地は一切ない。峠は全部で6つ。
最難関は120km地点の1級ル・マルクシュタイン(10.8km、5.4%)で、
最終峠はヴォージュ山塊最高峰の3級グラン・バロン(標高1336m)。
すでに高地を走っていることもあり、グラン・バロンへの登坂距離はわずか1.4kmしかない。
ただし、そこからの下りも危険が潜む。
ぎりぎりまで攻めるライディングで過去に事故も起きている。
標高292mまでのダウンヒルは、カーブが多い。
しかし一方でラスト20kmはほぼ平坦で、
道もひたすら真っ直ぐに伸びている

最後のどんなドラマが起きるか?

コース高低差
img_profile_09.jpg

レース概要
スタートから道は上り始め、スタートから大規模の
アタック合戦が巻き起こった。そんな中で、
チーム ユーロップカーが、とてつもない賭けに出る。

総合リーダーのピエール・ローランは、
すでに総合で7分34秒差があった。
スプリントリーダーのブライアン・コカールは、
ポイント賞争いで総合2位につけるが、
首位ペーター・サガンにはすでに111ptもの大差がある。

第2ステージでペーリ・ケムヌールが、
第4ステージでトマ・ヴォクレールが、
第7ステージでアレクサンドル・ピショが
大逃げにトライしたが、ヴォクレールが
敢闘賞を手に入れただけ。

第2ステージではピエール・ローランが、
第8ステージではヴォクレールと
シリル・ゴチエが終盤にアタックをかけたが、
いずれも集団に吸収され結果に結びつかなかった。

「昨日はゴールまで行くエスケープに入り損ねた上に、
ボクがタイムを失った。だから正直にいうと、
ホテルでの夕食は、みんな、苦々しい顔をしていたよ......。
だから、ボクは、リーダーとしてみんなに言ったんだ。
『顔を上げて行こう。みんなで逃げを打とう。
ボクも前に行く。そして戦線に復帰しようじゃないか』って」
(ローラン、ゴール後インタビューより)

こうして大会が始まって9日目、
フランスで迎える初めての日曜日、
緑のヨーロッパカー・フレンチチームは
いつも以上に激しくスタートから攻め立てた。

地元アルザスで生まれたヴォクレールが先陣をきる。
すぐに25人の集団が出来上がると、
ヴォクレール+ケムヌール+ゴチエの3人が滑り込んだ。
この逃げは集団に飲み込まれた。
続いてトニー・マルティンとアレッサンドロ・デマルキが飛び出した。
すると再び、ユーロップカーは必死の追走を始めた。
こうして出来上がった28人の追走集団に、
ピエール・ローラン+ケムヌール+ゴチエ+ピショ+ケヴィン・レザと
ユーロップカーがなんと5人もいる集団に!

「トマ(ヴォクレール)と、ピエール(ローラン)と、
シリル(ゴチエ)がとにかく乗れたらいい、っていう
指令だったんですけど......。みんなどんどん行っちゃって!!」
(新城幸也、ゴール後インタビューより)

結局のところはマルティンとデマルキの2人組に、
いや、正確に言えば世界選手権タイムトライアル3連覇中のトニーに
誰も追いつくことはできなかった。

しかも1級マークシュテインの上りで、つまり
ゴールまでいまだ59kmを残した地点で、
猛烈なアタックでデマルキを振り切ると、
大好きな独走態勢へと切り替えた。
幸いにもラスト20kmはほぼ完全なる平地。
マルティンはただ、いつもの通りに、
規則正しくペダルを回すだけでよかった。

「自転車界で、こんなことができる選手は、
そうたくさんはいないと思うよ。でも、ボクはこんな風にしかできないんだ。
だってボクはビッグアタックや駆け引きのできる脚を持っていないから。
むしろ距離を開いて、タイム差をつけてからが、
ボクにとってレースの時間なんだ!」
(マルティン、チームリリースより)
こんなことが言えるマルティンってすごい。。。
150KMの逃げって。。。

マルティンのこれまでのツール区間2勝は、
いずれも個人タイムトライアルでの勝利。
つまり初めてのツール区間勝利。
もちろん山岳賞ジャージだって初めて。
かつてドイツの領地だったこともあるミュールーズは、
今大会5つ目のドイツ人ステージ優勝で終了。

そしてマルティンの快挙から約6時間後、
遠いブラジルの地で、ドイツサッカー代表が4つ目の
ワールドカップを天に突き上げた。

stage9.jpg

フランスの日にすべくがんばったユーロップカーの
善戦むなしく、ドイツが力で勝ち取ったそんな一日でした。

それにしても休みなしでこんなコースを走れる人たちって
純粋にすごいと思います。さすが一流のレーサー!

ハイライト動画(ゴール前)もどうぞ


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ツールドフランス 2014 動画あり 第8ステージ [2014]




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コース概要
大会初の上りフィニッシュ。
戦いの場はアルプス、ピレネーに次ぐ
「第3の山場」ヴォージュ山塊へと移動。
いよいよマイヨ・ジョーヌ候補たちが
本格的に動きはじめるか?

161kmという比較的短めのステージは
前半130kmほどはほぼ平坦路で、
ラスト30kmに3つの峠がぎゅっと詰め込まれている。
2級クロワ・デ・モワナ(登坂距離7.6km、平均勾配6%)、
2級グロス・ピエール(3km、7.5%、最大16%)、
そして最終峠のラ・モズレーヌ(1.8km、10.3%、13%)。
3峠の間に一切の谷間はありません。
登って下りたら、すぐに登り、の繰り返し。
しかもラスト2峠は距離が短く、勾配は激坂。
日本には10%を越える峠はあまりないので
想像が付かないかもしれませんが
13%を超えると”壁”に見えます。

つまり最後の数メートルまで何が起こるか分からない、
そんなめまぐるしいアタック合戦も期待できそうですね。

鬼コース
img_profile_08.jpg

美しい風景の中を
ツールは進む
stage8.jpg


レース概要
カドリが逃げてそのままゴールへ
コンタードールとニーバリはお互いを
牽制しつつ、隙を伺いプロトンより
逃げ出す。そのまま二人でゴールしますが
ニーバリが最後の最後でほんの少しだけ離され
コンタドールが2位でフィニッシュ。
3位はニーバリ
4位は TEAMSKYのR.ポート
前年王者のフルームがリタイヤした後のSKYのエースとして
このステージ4位でフィニッシュ。
しかも総合では3位です。
彼もコンタドール、ニーバリに劣らずの
マイヨジョーヌ候補に挙がってきたのではないでしょうか?
すばらしいですね

ハイライトというかゴール前動画


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ツールドフランス 2014 動画あり 第7ステージ [2014]




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コース概要
234.5kmの今大会最長ステージ。
総合争いの選手にとっては、ヴォージュ山岳3連戦へと
向かういわば「移動」ステージだが、エスケープ大好き人間にとっては
大きなチャンスの1日となる。ステージ中盤に程よいアップダウンが
散りばめられており、しかもゴール前17kmとゴール前5.5kmに、
2つの4級山岳が待ち構えている。
ラスト5.5kmのブッフレール峠の山頂からは、約3kmのゆるやかな下り坂。
最終ストレートは、ナンシー版の凱旋門「デジーユ門」へと一直線に続く道だ。

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(出典:CYCLINGTIPS)

レース展開
このステージで最も強いインパクトだったのは、
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が、
ゴール前でサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)と
接触しクラッシュしたシーン。
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(出典:CYCLINGTIPS)
それを尻目に、ゴールをトップで通過したのは
マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)だった。
ほんのわずかの差でペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)に勝利。
CORVOS_00023486-142.jpg

サガンはこのレースでいい走りをしているが
まだ勝利には一歩及ばない。
一勝すれ、大バケしそうな予感。
ただヤングライダー賞でポイントは
着実に加算中。

ハイライト動画

(出典:CYCLINGTIPS)

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